9.3.3 量のテンソル積



 数の系Nを作用域にもつ二つの量の系(Q1,N),(Q2,N)と単位ui∈Qi(i=1,2)に対し,同型対応i:(Qi,N)─→(N,N)(i=1,2)を経由して,(NN,N) から量の系 (Q12,N) を導出する。

 標準写像(can.):
1×Q2 ─→ Q12
(x1,x2) 12 
は,複比例関数である(註1)

 また,複比例関数f:Q1×Q2─→Q でf(Q1*×Q2*)⊂Q* となるものに対し,(f(Q1×Q2),N)はf(u1,u2) が単位となるところの量の系になる(註2)。さらに,同型φ:Q12─→f(Q1×Q2)が,対応:

12 f(x1,x2)

として得られる(註3)。言い換えると,図式:



を可換にする関数として得られる。そしてこの意味で,“量x1とx2の積f(x1,x2)”に対する“量x1とx2のテンソル積x12”の解釈が立つ。



(註1) hi=ui* とおきx=ui×ξiとする(i=1,2)。 そしてこれには,(ξ1×α)ξ2 が対応する。また, そしてこれには,(ξ1ξ2)×αが対応する。
 一方, (註2) f(x1,x2) =f(u1,u2)×1×ξ2)。

(註3)先ず,関数φ:x12 f(x1,x2) が well-defined で,1対1対応であることを確かめる。つぎに,+,×の定義に戻って,
φ(x12+y12) =f(x1,x2)+f(y1,y2)
φ((x12)×α) =f(x1,x2)×α
を確かめる。
 以下,xi=ui×ξi,yi=ui×ηi(i=1,2)とする。
(1) x12=y12 のとき, ξ1×ξ2=η1×η2。 そしてこのとき よって,φは well-defined。
 逆に,f(x1,x2)=f(y1,y2) からはf(u1,u2)×1×ξ2)=f(u1,u2)×1×η2) が導かれ,このとき ξ1×ξ2=η1×η2,さらにx12=y12 よって,φは1対1。
(2)