自然数 → 整数 → 有理数 → 実数 → 複素数 → 四元数 の流れでは,実数のところから,実線型空間を量にしていきます。
また一方,自然数 → 正負の数 (整数, 有理数) → 実数 → 複素数 → 四元数の流れでは,正負の数のところから,「位 (位置)」の概念が立つようになります。( 「位」表現──存在の3態:位・量・数 )
量が実線型空間のとき,位は実線型空間に対応する実アフィン空間になります。
ここで「実線型空間に対応する実アフィン空間」の意味ですが,つぎのようになります:
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線型空間に対しては,「点」を要素とするアフィン空間が考えられます。
1次元実ベクトル,2次元実ベクトル,3次元実ベクトルをそれぞれ「直線上の移動/シフト」,「平面上の移動/シフト」,「空間の中の移動/シフト」と見てきましたが,このとき暗黙に対象化していた直線,平面,空間の身分を表すことばが,「アフィン空間」です。
そして特に,実線型空間に対応するアフィン空間を「実アフィン空間」と呼びます。
実アフィン空間では,点の表現が主題になります。そして,
「原点と定めた点Oから移動ベクトルqだけシフトしている点P」
が,表現の形になります。
式にすると,つぎのようになります:
P = O + q
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1次元では,点の表現がつぎのようになります:
実際,1次元では,量と線型空間が同じものになったように,位とアフィン空間が同じものになります。
特に,つぎの対応が成り立っています:
位・量・数 |
点・ベクトル・スカラ |
「基準・単位」 |
「原点・基底」 |
つぎに2次元では,点の表現がつぎのようになります:
確認:
- 点 :P, O
- ベクトル:q,
u1,
u2,
u1 xn1,
u2 xn2
- スカラー:n1, n2
2次元以降では,量と線型空間が構造の違うものになりますので,位とアフィン空間も構造の違うものになります。
ただし,緩い対応関係として,1次元に引き続きつぎの対応関係を見ていくことができます:
位・量・数 |
点・ベクトル・スカラ/行列 |
「基準・単位」 |
「原点・基底」 |
なお,点の表現の枠として用いている基底と原点の組──2次元の場合だと ( (u1, u2), O ) ──を,「(アフィン)枠」と呼びます。
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