Up はじめに 作成: 2010-11-13
更新: 2010-11-13


    小学数学から高校数学まで,学校数学には「関数」という単元はない。 すなわち,現行は,「関数」を明示的に主題として立てる指導はやっていない。

    「関数」は,数学の最も基本的な概念の一つである。 数学のどの分野も,関数と用いる。
    このように基本的な概念は,逆に,指導単元になりにくい。 学校数学に「関数」の単元が立てられていないことには,理由があるというべきである。

    「関数」は,学校数学では,機に応じて取り上げていくふうになっている。
    中学数学の「比例関数」は,「関数」が明示的に登場する最初の単元である。

    「比例関数」は,「関数」の概念があまりに雑に扱われるときは,生徒にとって学習できないものになる。 ──ここで「関数の概念を雑に扱う」とは,つぎの概念を曖昧に扱うということである:
      「集合・要素」
      「一意対応」
      「定義域 (始集合)・値域 (終集合)」
      「関数式」「変数・定数」
      「関数グラフ」

    つぎの二つは区別されねばならない:
    1. 生徒の負担を減らすために,指導内容を減らす
    2. わかるために必要なことを,指導しない
    「関数」を生徒がわかるようにするには,上に挙げた概念の指導を惜しむわけにはいかない。 曖昧を残さない形で指導する必要がある。
    この<曖昧を残さない形>は,ことばや図の表現の工夫によって実現していく。