「離散数学」は,数学の一つの体系を指すことばではない。
すなわち,「離散」という理論/方法論があるわけではない。
「離散数学」のことばは,つぎの意味で用いるものになる:
- 数学全体から領域横断的に「離散」の主題を集めてきたその総体。
- 「この体系が扱う対象は離散なものである」の意味で,「それは離散数学である」と言う。
(このときには,離散数学の代表として 組合せ論,グラフ理論が挙げられることになる。)
離散数学は,この二つのそれぞれの意味において,体系バラバラ主義の数学教育と相性がよい:
- 領域横断的に教材を拾えば,体系バラバラになる。
- 有限の対象を扱う数学なので,「しらみつぶし」「図を書く」「簡単にする」「きまりを見つける」といった一般概念を直接指導内容にする授業 (例:ストラティジー指導/問題解決学習) を仕立てることができる。
よって,学校数学を体系バラバラにしようと思ったら,「学校数学の内容を離散数学から借りる」というのは自然なアイデアである。
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