ひとは,自分以外を知らないので,自分を特別視する:
自分が感じる/思う/考えることは,正しい。
(自分のようでない者は,間違っている。)
自分は,ほかの者が見ていない/知らないことを,見ている/知っている。
自分の行う事業は画期的であり,妨げられるべきでない。
この特別視の誤りを犯さないためには,自分を客観的に見られるようにしなければならない。
そして,その方法を説くスタイルは,大昔からずっと変わっていない:
以銅為鏡,可以正衣冠
以古為鏡,可以知興替
以人為鏡,可以明得失
我常保此三鏡,以防己過
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銅を鏡にして,衣冠を正す
古(いにしえ)を鏡にして,興替 (ライフサイクル) を知る
人を鏡にして,得失を明らかにする
常に此の三鏡を保って,己の過ちを防ぐ
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(唐太宗, 『貞観政要』)
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すなわち,通時的および共時的に<他者>を鏡として求める,ということである。
註 : |
「通時的に<他者>を鏡として求める」とは,歴史を勉強するということ。
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