Up 三鏡 作成: 2007-10-13
更新: 2007-10-13


    ひとは,自分以外を知らないので,自分を特別視する:

      自分が感じる/思う/考えることは,正しい。
       (自分のようでない者は,間違っている。)
      自分は,ほかの者が見ていない/知らないことを,見ている/知っている。
      自分の行う事業は画期的であり,妨げられるべきでない。


    この特別視の誤りを犯さないためには,自分を客観的に見られるようにしなければならない。
    そして,その方法を説くスタイルは,大昔からずっと変わっていない:
以銅為鏡,可以正衣冠
以古為鏡,可以知興替
以人為鏡,可以明得失
我常保此三鏡,以防己過

銅を鏡にして,衣冠を正す
古(いにしえ)を鏡にして,興替 (ライフサイクル) を知る
人を鏡にして,得失を明らかにする
常に此の三鏡を保って,己の過ちを防ぐ
(唐太宗, 『貞観政要』)
    すなわち,通時的および共時的に<他者>を鏡として求める,ということである。
      註 : 「通時的に<他者>を鏡として求める」とは,歴史を勉強するということ。