Up 「関数」の意味 作成: 2011-04-25
更新: 2011-04-25


    関数の主題研究は,多忙な教員にとって,難しい。
    「関数」を簡便に自学習できるテクストが,なかなか見つからないからである。

    「関数」の学習テクストは,いくらでも見つかりそうな感じがする。 ところが,数学に通底する概念としての「関数」を,話を難しくしないで解説してくれるテクストが,存外見つからない。 たいてい,分野専門的な内容に仕立てられている。


    数学に通底する概念としての「関数」は,集合論の中に位置する。
    実際,「集合」を対象化したら,つぎは「集合間の関係」の対象化に進む。 「関係」は,「集合の要素間の対応」に還元される。 「対応」のうちでも,特に「一意対応」が重要なものとされる。 これが「関数」である。
    この「関数」を教えてくれるテクストで,かつ必要最小限をわかりやすく教えるものが,存外無いのである。

    ちなみに,集合から「関数」を構成する方法を最も明示的に (この意味で,最もきちんと) 記述しているのは,ブルバキ『数学原論』である。しかし,これは簡単には読めない。一定の数学的訓練が必要になる。
    また,数学辞典の類の記述は,数学を一定程度修行した者が読めるものであって,入門者がこれの意味を汲むのは難しい。


    「関数」とは,端的に,「一意対応」のことである。 ところで,関数の話では「一意対応」と紛れやすい用語が出てくる。 「1対1」「1対1対応」である。
    「1対1」は,「単射」と互いに言い換えになることばである。
    「1対1対応」は,「全単射」と互いに言い換えになることばである。

    「関数」のことばも,入門者には躓きになる。 すなわち,「関数」の構成概念に,「数」があると思ってしまう。 例えば,「対応は対応でも,数の対応であるもの」のような思いがもたれたりする。
    事実はどうかというと,「関数」はもともと「凾数」であり,「function」の音写であり,同時にイメージを添わせたものである。 「数」の文字が入っていることに,意味があるわけではない。


    「関数」の意味については,つぎを参照されたい: