Up かけ算の順序は,こだわるべきでない 作成: 2012-01-20
更新: 2012-01-20


    「かけ算の順序」論争が論争であるならば,それはかけ算の順序が<ある>と<ない>の間の論争である。 しかし現前の論争は,<ある・ない>をきちんと言い切るということがない。
    <ある・ない>をきちんと言い切るとは一つの理論を示すことであるが,理論レベルで<ある・ない>を主張しているわけではないので,こうなるのである。

    そこで,どんなもの言いになるか?
    順序にこだわるべきではない」のもの言いになるのである。

    こだわる」は,この「かけ算の順序」論争の場合だと,本来つぎのように使うことばである:
    かけ算の順序は<ある>と<ない>のどちらが正しいのか?に,こだわりをもつ。
    正しいのはこの立場であるが,この立場が択られるかどうかについてはこだわらない。
    そして,このときの「正しい」は,数学の上で決着される「正しい」である。

    しかし,「かけ算の順序」論争には,数学がない。
    数学をもっていないので,順序の<ある・ない>が言えない。
    そこで,「こだわるべきではない」を,便利な言い回しとして使う。
    そして,このことばの用い方がおかしいことに,自分では気づかないのである。