Up 「量」の数学 作成: 2013-11-21
更新: 2013-11-21


    「比例」は,2量の間の関係である。 「比例」の数学は,「量」の数学がもとになる。
    そこで,「量」の数学の押さえを,先ず行う。
    但し,本論考に必要な分だけということで,できるだけ容易な押さえにする。

    いま,「量」として「長さ」を考える。
    「長さ」のことばは,日常的につぎの2通りに用いられている:
    1. 1つの量カテゴリーとしての長さを指す (例:「長さと重さ」)
    2. 個々の長さを指す (例:「長さ2cm」)

    これに対し,「長さ」を数学にするときは,つぎの3つの「長さ」を区別することになる:
    1. 系としての長さ (「長さ(系)」)
    2. 集合としての長さ (「長さ(集合)」)
    3. 長さ(集合) の要素としての長さ (「長さ(要素)」)
    日常的用法のA,Bには,それぞれ長さ(系) と長さ(要素) が対応する。

    長さの計算には,長さ(要素) 同士の和と,長さ(要素) に対する数の倍(作用) がある。
    前者は算法として「加法」と呼ばれ,構造的に「内算法」である。
    対して,数の倍作用は「外算法」である。
    長さ(要素) のq′ の和を「q′」で,そして長さ(要素) と数nに対するのn倍を「 × n」で,それぞれ表すことにする。

    ここで,「数」も,系,集合,要素の3つを区別することになる。
    例えば,長さを倍する数として正の実数を考えるときは,「正の実数」につぎの3つを区別することになる:
    1. 系としての正の実数 (「正の実数(系)」)
    2. 集合としての正の実数 (「正の実数(集合)」)
    3. 正の実数(集合) の要素としての正の実数 (「正の実数(要素)」)
    また,数では,2つの内算法「加法 (+)」「乗法 (+)」が考えられている。
    そして,つぎが数(系) である:
        ( 数(集合), +, × )

    最後に,つぎが長さ(系) である:
        ( ( 長さ(集合), ), ×, ( 数(集合), +, × ) )

    ここで,系の中に含まれる4つの算法がどのように関係するかを簡単に見るために,「2mの棒と3mの棒5本をつないだ長さの計算」を示す:
      「2m」 (「3m」× 5 )
      = (「m」× 2 ) ( (「m」× 3 ) × 5 ) )
      = (「m」× 2 ) (「m」× ( 3 × 5 ) )
      =「m」× ( 2 + ( 3 × 5 ) )
      =「m」× 17
      =「17 m」