Up 形式不易の原理  


    「数は量の抽象」は,自然数・個数より先に進んだときの量計算で,困ることになる。
    すなわち,「数は量の抽象」の立場では,数の和・積を量の和・積の抽象ということにして,量計算を説明しなければならない。
    自然数・個数のときは,<数える>が使えて,説明の格好をなんとかつくれた。 しかし自然数・個数より先に進むと,「数の和・積を量の和・積の抽象ということにして,量計算を説明する」はできない。

    そこでどんな手を使うことにしたかというと,「形式不易の原理」である:
      自然数・個数で使えた形式は,自然数・個数より先に進んでも使える。
    これを自然法則・物理法則に類する実体法則にする。

    例 :長方形の面積は,数値が自然数,分数,実数のどれであっても,
      タテ×ヨコで求まる。

    しかし「形式不易の原理」なるものは,数学では演繹によって導かれるべき命題である。 実体法則 (公理) のように導入されるものではない。
    そして,「数は量の比」がこの演繹の中で使われる。 ( 長方形の面積の計算)