Up 「1と見る」をやめるとは,何をすること?  


    「1と見る」はやめるべきと述べた。
    しかし,「やめる」ができるためには,替わりにつぎのことが算数の内容に入ってこなければならない ( <倍の合成>を構造とする問題の解法 ):

    1. 「nグラム」を「グラムのn倍」と言えること
    2. 「m倍とn倍の合成を (m×n)倍と書く」が「×」の文法とされること
    3. 「mと掛けてnになる数をn÷mと書く」が「÷」の文法とされること

    現行はつぎのようになっている:

    1. 「nグラム」は「1グラムのn倍」
      「1グラムは1グラム」(グラムを単独にできない)
    2. <mに抽象される量>をn倍した量の抽象が,m×n
    3. <nに抽象される量>をm等分した量の抽象が,n÷m
      あるいは,<mに抽象される量>に対する<nに抽象される量>の割合が,n÷m

    現行は「数は量の抽象」の立場に立っているため,量計算の指導ではひどく没論理な論法をつくりださねばならない。しかし,ずっとこの軌道でやってきているので,いまからこれを改めるというのも至難である。