Up おわりに 作成: 2010-12-16
更新: 2010-12-16


    学校数学の「数と量」に関する内容の議論のうちには,イデオロギーが行う議論がある。 この場合,内の議論であれば,連帯を保つ風で仲がよいが,外との議論になると,論争そして攻撃になり,特に門切り方の<貶す>がスタイルになる。

    数学は,議論・論争をつくらない方法をつくり,これを自分の方法にした。
    論の前提を明示的に定め,推論によって得られる命題のみを言明とする。 言明に議論・論争が現れるのは数学の体系の欠陥ということになり,このときは体系の修正に向かう。

    もっとも,イデオロギーが行う議論・論争も,<貶す>を含め,大いに盛んなのがよい。 どれもこれも,<個の多様性>を現しているわけである。
    しかし一方,学校数学がその種の議論・論争に簡単に翻弄されるものでないよう気を配ることは,大事である。 そして,数学を意識し数学に目を向けることが,簡単に翻弄されないための唯一の方法である。

    本書は,このスタンスで作成したものである。