Up 要 旨 作成: 2012-02-04
更新: 2012-03-05


    非明証性のおおもとには,学校数学の<数は量の抽象>の立場がある。

    <数は量の抽象>は,数学の<数は量の比>に逆らう形で立つ。 これは,無理な立場である。
    <数は量の抽象>の無理な立場は,かけ算の論をつくるところで,たちどころに異形を現す。

    <数は量の抽象>は,量を<リアル>の側に措くタイプの,リアリズムである。
    「抽象」の意味は,「リアルを数学に写す」である。

    特に,<数は量の抽象>を立場とするかけ算・わり算指導は,「リアルを数学に写す」ときのリアルを用意するところから始まる。 このリアルが,「文章題」である。
    かけ算・わり算指導を文章題から始めることは,<数は量の抽象>の場合,指導法の一つというものではなく,必然なのである。

    <数は量の抽象>の無理な立場は,無理な論法を強いる。
    これが,「かけ算・わり算指導の非明証性」の内容である。
    一方,「明証的でない」の論難は,<数は量の抽象>に対しては論難にならない。
    なぜなら,<数は量の抽象>は,数学ではなく,存在論だからである。
    この立場では,存在が明証であり,この明証に対し明証を重ねる意味はない。