Up <数は量の抽象>は,<数の積は量の積の抽象> 作成: 2011-12-27
更新: 2012-03-02


    <数は量の抽象>とは,量をリアルの側に措き数を量の抽象と定める立場である。
    この立場では,数は量の絵に表現されるものになる。
    例えば分数「2/5」は,つぎの絵になる:


    しかし,いろいろな大きさの「2/5」の絵が描けるように,「2/5」は量を表しているのではなく,量の比を表している。
    <数は量の比>であるのにこれに抗って<数は量の抽象>を立てるのは,無理なスタンスである。
    この無理なスタンスは,「かけ算」の意味づけでいっきに苦しいものになる。

    数が量の抽象だとすると,数の積は量の積の抽象でなければならない。
    たとえば,「2/5 × 4/3」をどう考えたらよいか?
    つぎのようだと,意味が立たない:


    <数は量の抽象>はここで,つぎの理屈を出してくる:
    数の積は,1あたり量 × いくつ分 の抽象である。
    1あたり量といくつ分 は,異なるタイプの量 (内包量と外延量) であるが,いずれにしても量である。
    というわけで,数の積は量の積の抽象である。
    そして,「2/5 × 4/3」の図式が,「かたまり × いくつ」 でみてきたつぎのものになる:


    数学には「量の積」はない。
    「数の積」は<倍の合成>が意味となり,図式もそのようになる。