Up 数直線」が数学の過剰に 作成: 2011-12-23
更新: 2012-04-11


    学校数学は,数学の<数は量の比>を択らないことを立場にしている。
    択るのみであるものを択らないので,無理・余計をやってしまうことになる。
    数直線」は,この余計のものの一つである。

    数直線」は,2量の同型対応であって,視覚化した<長さ>との同型を間に挿む形のものである。
    上下辺での要素の配置を,比を視覚化しつつ,線型に配置する。
    この《<長さ>との同型を間に挿む》は,無用なプロセスである。
    同時に,高度な内容の数学の使用である。

    また,「数直線でかけ算・わり算」の数学は,分数・小数の代数構造──特に「かけ算」──を要素にしている。 したがって,「数直線」を使って分数・小数のかけ算・わり算の式を導き,計算法を導くことは,数学においては循環論法(《既に系の要素になっているものを,系を用いてつくりだす》)になる。

    学校数学の「数直線でかけ算・わり算」が内包する数学は,「分数・小数のかけ算・わり算」の本来の数学に対し,「無用」「循環論法」「内容が数学的に高度」の意味で,過剰である。 そしてこの「数学が過剰」が,「数直線でかけ算・わり算」の<非明証性>の内容の一つになる。
    実際,「無用」「循環論法」であるから,明証を求めるとおかしなことになる。
    「内容が数学的に高度」であるから,この数学は明示できるものにならない──暗黙に・感覚的に扱うことになる。

    数直線」は,専ら指導的方便として合理化されるものである。 この捉えが肝心である。