Up 「分数のかけ算」──立式と計算 作成: 2011-12-01
更新: 2012-01-30


    「ペンキ塗り」型の「分数のかけ算」の授業は,つぎの流れになる:

    1. つぎの文章題から始める:
        「塀にペンキを塗る。
         1 dL で2/3 m2 塗れる。
         4/5 dL では何 m2 塗れるか?」

    2. この問題がつぎの問題に還元されることを,生徒に受け入れさせる:
        「2/3 m2 の 4/5 は,何 m2 か?」

    3. つぎの立式を,生徒に受け入れさせる:
        (*) 何 = 2/3 × 4/5

    4. 面積が m2 の長方形 (特に,m四方の正方形) を表す図を描く。


    5. 「何 m2」としての「2/3 m2 の 4/5」を,つぎのように作図する:


    6. この図から,つぎの関係を読み取らせる:
        (#) 「何 m2」=「m2 の (2 × 4)/(3 × 5)」

    7. (*) と (#) から,つぎを結論する:
        2/3 × 4/5 = (2 × 4)/(3 × 5)

    8. つぎのことばにまとめる:
        分数のかけ算は,分子同士かけたものを分子にし,分母同士かけたものを分母にする。


    以上の手順を<数学の推論>として採点するならば,つぎの2つが減点される:
    • ステップ2 および 3 において,論証がない。
    • ペンキ塗りの問題で得た式 (特殊) から,分数の求積公式 (一般) を結論する。

    なお,ステップ2,3で抜かされている論証は,つぎのようになる: