Up おわりに 作成: 2012-04-13
更新: 2012-04-13


    「分数・小数のかけ算・わり算」の指導は難しい。
    「難しい」の内容は,《説明を明証的につくれない》である。

    明証的につくれないのは,「教育的事情」がいちばんの理由になる。
    すなわち,教育の惰性の力であり,これは個々の取り組みではいかんともし難い。

    そしてもう一つの大きな理由が,明証性・非明証性のとらえが,そもそもきちんとできていないことである。

    先ず,「明証性の問題が存在している」の意識が,形成されない。
    形成されないのは,「学習内容は,疑問を差し挟むものではない」の無意識があり,「学習困難は個人の能力の問題である」の思考回路になっているからである。

    さらに「明証性の問題が存在している」の意識をもたせるものは数学の知識であるが,この数学がもたれていない。
    もたれていないのは,「明証性・非明証性のとらえに必要な数学」の文脈でその数学に出会う/教えられる機会がもたれなかったからである。

    そこで,本テクストを以て,「分数・小数のかけ算・わり算」の現行指導をとらえる上で必要になる数学を示そうとした。

    本テクストは,数学しか示していない。
    この数学が,「明証性・非明証性のとらえ」でどのように登場することになるかは,各論として,別のテクストで述べるようにした。
    以下が,現時点での,各論のテクストとなるものである: