Up 理論に2タイプ:固有対象の論と形の論 作成: 2011-10-08
更新: 2011-10-08


    数学の理論には,つぎの2タイプがある:
    1. 固有の存在を立て,この存在の含蓄を論ずる。
    2. 形を定義し,これの含蓄を論ずる。

    自然数論やユークリッド幾何学は,前者の例である。
    自然数論は,「自然数」という存在を立てる。
    ユークリッド幾何学は,「点,直線,平面,円,‥‥」という存在を立てる。

    群論や線型代数幾何学は,後者の例である。
    他の理論で立てられている存在を,「その存在はこの形をしている」というふうに取り上げる:
      自然数は,加法に関して,群の形をしている。
      実数の積空間は,加法と実数の倍作用に関して,線型空間の形をしている。

    固有の存在を立てる場合,ことばをもってこれを規定することになるが,その規定が「公理」である。
    翻って,<形を定義しこれの含蓄を論ずる>タイプの理論は,公理をもたない。

    注意 : 形を定義する言い方は
     「つぎの条件を満たすものを,○○と呼ぶことにする」
    であるが,このときの「条件」と「公理」を混同しないこと。