Up 構成主義がわからない (= 循環論法がわからない) 作成: 2010-03-23
更新: 2010-03-23


    数学は,構成主義を方法論にする。 すなわち,数学的概念・命題をとことん還元したところから,体系の構築を開始する。

    最も還元したレベルは,形式言語である。 記号と文法を定めるところから,始める。
    つぎに真理値を導入し,推論規則を定め,出発点にする真理命題 (公理) を定める。
    以降,推論によって真な命題 (定理) を導き,定義によって新しい概念を導入するという形で,体系の構築が進行する。

    ユークリッドの『原論』は,この構成主義の古典である。
    Bourbaki の『数学原論』は 1930年代に開始された数学テクスト作成プロジェクトであるが,構成主義を学ぶのに最良の数学テクストは,以来ずっとこれである。


    数学の構成主義の方法は,数学をある程度専門的にやらないとわからないし,使えるようにならない。

    数学の各主題は,構成の中に位置づき,構築の順番に縛られている。 一方,構成主義の方法がわからない者は,数学を博物学のように見てしまう。 すなわち,数学の各主題をバラバラに見て,単独に取り出す。
    そしてこんなふうに単独に取り出した主題Aから主題Bを導こうとするわけなので,決まって循環論法をおかすことになる。

    数学の方法論としての構成主義がわからない限り,循環論法は矯正されない。
    矯正されない循環論法は,数学における「モンスター」である。