Up 「割り算とは等分すること」 作成: 2010-03-22
更新: 2010-03-22


    「割り算」の意味を「分ける」にすることも,ほとんどの者がすることであるが,これもモンスターである。 実際,「割り算」は分数,正負の数,無理数,複素数にもあり,そして「分ける」の意味をこれらにあてはめることはできない。
    「割り算」の意味を「分ける」にする者は,「割り算」を専ら自然数で考えているわけである。 「割り算」が自然数以外にもあることについては思考停止し,そして自分がこの思考停止をしていることを意識しない。

    「割り算」とは,畢竟,記号「÷」の文法のことであり,この文法の運用のことである。 そして,この文法の前に,積の記号「×」の文法がある。
    すなわち,記号「÷」は,積が可換になる数の系において,つぎのように定義される:

      ○×m=n (m×○=n) となる○を,「n÷m」と書く。

    そして,このように定義した「n÷m」が,自然数においては,つぎのように使えるものになる:
      「n個のリンゴをm個のクラスに等分するとき,各クラスのリンゴの個数はn÷m個」
      「n個のリンゴを一クラスm個に等分するとき,できあがるクラスはn÷m個」