Up 「距離÷時間=速さ」 作成: 2010-03-22
更新: 2010-03-22


    「距離÷時間=速さ」は,モンスターの代表格である。
    「距離を時間で割る」という行為が成り立つと思い,そしてこのときの「割る」という行為の中身については思考停止する。 そして,自分がこの思考停止をしていることを意識しない。

    「時間÷重さ」「面積÷速さ」が素直に思いつかないように,「量÷量」はウソである。 しかし,「量÷量」を身につけた者は,矯正困難である。 「モンスター」と呼ぶ所以である。

    ちなみに,「距離・時間・速さ」の数学は,つぎのようになる:

    1. 速さとは,時間と距離の間の比例関係のこと。
    2. 一般に,2量の間の比例関係には,量の形式をもたせることができる。
      この意味で,速さは量になる。
    3. 距離の単位としてmをとり,時間の単位としてsをとる。 そして,速さの単位として,「m/s」(sにmが対応する比例関係としての速さ) をとる。
    4. このとき,時間3sに距離6mが対応する速さは,(6÷3) m/sである。

    「距離÷時間=速さ」は,つぎを誤解したものである:
      (距離の単位mに対する数値) ÷ (時間の単位sに対する数値)
       = (速さの単位 m/sに対する数値)
    あくまでも,「数÷数=数」である。 しかしこれを「量÷量=量」のように受け取ってしまうのが,モンスターである。