Up 形式言語理論 作成: 2014-11-27
更新: 2014-12-06


    「数学教育学」の修行項目には,「理論」を知ることがある。
    「理論」を知ることが必要なのは,「数学教育学」においてつぎのことが必要になるからである:
    • 「数学」を,「理論」として見る
    • 「数学教育学」を,「理論」として見る

    「理論」は,形式言語理論において,理論的に定式化される。
    こうして,形式言語理論が修行項目になる。

    以下は,「形式言語がわかる」の内容で,数学教育が特に係わるものの例である。


    (1)「統辞論 (syntax)・意味論 (semantics)」の概念がわかる
    「1+1=3」は文であり,「11+=3」は非文である。
    文・非文の別をつくるのは,「文法」である。
    文「1+1=3」は偽である──これに対し,「1+1=2」は真の文である。
    文に対し真・偽の別をつくるのは,「意味」(「公理」) である。
    数学の授業の中のマル・バツには,文法に関するマル・バツと,意味に関するマル・バツがある。

      数学の授業の中のマル・バツには,この上さらに,「学校数学の常識」(「社会通念」) が規準に立てられるマル・バツがある。
       例 :正しい円を描きましょう
      電線に鳥が2わ,後から3わ,合わせて何わ?
       (「2わが逃げて,3わ」は,バツ)


    (2)「体系」「還元」「循環論法」の概念がわかる
    「体系」「還元」「循環論法」の概念がわかっていないと,数学教育学はできない。
    これらの概念のもとは「構成」である。
    そして「構成」の方法論が,構成主義である。

    「構成」を厳密な内容として見ることのできる理論は,存外,希少である。
    数学だと,ブルバキの『数学原論』が挙げられる。
    しかし,厳格な「構成」が最もはっきり見えるようになっているものはといえば,それは形式言語理論である。




     『「理論」──形式として』