Up 商品経済の中の数学教育 作成: 2015-04-21
更新: 2015-04-21


    数学教育は,社会的営為である。
    そして現前の社会は,商品経済の社会である。
    数学教育は,これの様々な態様において,商品経済を貫徹していくものになる。

    数学教育における商品経済の貫徹は,是非でやっているのではない。
    単純に,これはダイナミクスである。
    ダイナミクスに,是非はない。
    そこで,数学教育に係わるにおいては,ダイナミクスとしての「商品経済」の押さえが肝要になる。



    学校教育は,社会が必要とする人材を育成するためのものである。
    現前の社会は,商品経済の社会である。
    社会が必要とする人材は,商品経済で活躍できる人材である。

    商品経済は,いま,「グローバル化」のダイナミクスで動いている。
    社会が必要とする人材は,特に「グローバリズム」をやれる人材である。

    学校数学のいまのスローガンは,「数学的リテラシー」である。
    学会は,「数学的リテラシー」に学術的装いをつけることを自分の役割にしている。
    この「数学的リテラシー」はどこから出てきたか?
    OECDの求めるものに乗っかるという格好で,出てきた。

      OECDが,生徒の学習到達度調査を行う。
      自国の生徒の成績に対し,数学教育界は「成績を向上させねば」で反応する。
      これが,「OECDの求めるものに乗っかる」になる。


    事物の商品化は,「良い・悪い」の話ではない。
    商品経済は人の系のダイナミクスの現前であり,これの向かう先が何であろうと (蕩尽の果ての種絶滅への道であろうと),是非はない。
    そして,商品経済の一環として行われる数学教育の「改善/改革」に,是非はない──良いも悪いもない。

    数学教育の商品経済的機能性は,数学の意義からも独立したものである。
    特に,数学教育学の商品経済的機能性は,数学から独立したものである。
    そしてこれが,「数学教育学は数学とは違う」の第一義である。