Up 経過時間に対する移動距離と速度  


      ここに自動的に走る乗り物があって,A, B 二人が乗っている。
      乗り物には,移動距離と速度を示すメータがそれぞれついている。
      いま,ある時点で距離のメータと時計をリセットし,つぎのことを開始する:
        A は,経過時間に対する距離を記録する
        B は,経過時間に対する速度を記録する

      一定時間が経過したところで,A と B は作業を終了する。
      そして,A と B はそれぞれ記録をもとに「時間 - 距離」と「時間 - 速度」の2つのグラフを作成する。

    「時間 - 距離」のグラフ(左) と「時間 - 速度」のグラフ(右):


      このとき,実は,つぎのことが可能です:
      • 「時間 - 距離」のグラフから「時間 - 速度」のグラフを得る
      • 「時間 - 速度」のグラフから「時間 - 距離」のグラフを得る
      そして,
    「微分」: 「時間 - 距離」のグラフから「時間 - 速度」のグラフを得る操作
    「積分」: 「時間 - 速度」のグラフから「時間 - 距離」のグラフを得る操作
      ということになります (「微分・積分」の意味!)。


      そこでこの操作ですが,考え方はつぎのようになります:
    「小学生が算数で解ける形に変えよう (近似しよう)」
      小学生はつぎのことができます:
      • 経過時間に対し一定の割合で距離が増えるときの速度を求める。
      • 速度が一定のときの走行距離を求める。

      そこで,つぎのように近似してみます:
    左のグラフを直線グラフに近似すると,この近似グラフには右の定値グラフが対応する。
    右のグラフを定値グラフに近似すると,この近似グラフには左の直線グラフが対応する。

      さらに,時間を区切って,近似 (直線と定値) をより精細にしてみます:


      時間を細かく区切るほど近似は精密を増し,もとのグラフがほとんど再現されるようになります:
    この例では,「時間 - 速度」の近似グラフからは「時間 - 距離」のグラフがほとんど再現されました。 しかし,「時間 - 距離」の近似グラフから「時間 - 速度」のグラフを再現するには,時間をさらに区分しなければなりません。


      ここでは,「<時間-距離>対<時間-速度>」を使って「微分・積分」の概念を導入しましたが,「微分・積分」の意味を一般的に述べると,つぎのようになります:
    「微分」: 「位置が変化する様」から「位置の変化率が変化する様」を得る操作
    「積分」: 「位置の変化率が変化する様」から「位置が変化する様」を得る操作