Up cos(θ+τ) + i sin(θ+τ) = (cosθ+ i sinθ) × (cosτ+ i sinτ) 作成: 2017-10-26
更新: 2017-10-28


    指数関数 f(x) と同じく「f(x1 + x2) = f(x1) × f(x2)」の形式をもつものに,「平面上の回転」がある。


    一つの平面上のベクトル全体は,実数をスカラーとして2次元線型空間をつくる。
    さらにこの2次元線型空間は,スカラーを複素数に取り換えることで1次元線型空間になる。 ( 複素数
    複素数をスカラーとするこの1次元線型空間を,Vとする。

    V の導入で,ベクトルに対する「θラジアンの回転」と「( cosθ + i sinθ) 倍」が同じことになる。
    特に,「<回転の合成>の意味」として,つぎが成り立つ:
      cos(θ + τ) + i sin(θ + τ)
        = (cosθ+ i sinθ) × (cosτ+ i sinτ)

    そこで,関数
      f:x├─→ cosx + i sinx (x∈ )
    を考える。
    これは,つぎを満たす:
      (f(x1 + x2) = f(x1) × f(x2)



    備考. 複素数の「数空間」
    複素数の「数空間」──ベクトルとスカラーの両方を複素数とする1次元線型空間──を,Cで表す。
    (註. 「複素平面」は,「Cに随伴するアフィン空間」がこれの意味である。)

    大きさが0でない() ∈ V を,一つ定める。
    VとCの間には,つぎの同型対応が立つ:
      ψ:()× (x + i y)├─→ x + i y
    そしてこの同型を介して,ベクトル()()× (x + i y) の θラジアン回転と複素数のつぎの積が対応することになる:
        (x + i y) × ( cosθ + i sinθ)

     註: Cにおける複素数の積には,見掛けは同じだが意味の違う,つぎの2通りがある:
     ・ベクトルのスカラ倍 (「作用」)
        (x + i y) × ( cosθ + i sinθ) としての (x + i y) × ( cosθ + i sinθ)
     ・スカラの積 (「作用の合成」)
        (cosθ + i sinτ) × (cosθ + i sinτ)