指数関数 f(x) と同じく「f(x1 + x2) = f(x1) × f(x2)」の形式をもつものに,「平面上の回転」がある。
一つの平面上のベクトル全体は,実数をスカラーとして2次元線型空間をつくる。
さらにこの2次元線型空間は,スカラーを複素数に取り換えることで1次元線型空間になる。
( 複素数 )
複素数をスカラーとするこの1次元線型空間を,Vとする。
V の導入で,ベクトルに対する「θラジアンの回転」と「( cosθ + i sinθ) 倍」が同じことになる。
特に,「<回転の合成>の意味」として,つぎが成り立つ:
cos(θ + τ) + i sin(θ + τ)
= (cosθ+ i sinθ) × (cosτ+ i sinτ)
そこで,関数
f:x├─→ cosx + i sinx (x∈ )
を考える。
これは,つぎを満たす:
(f(x1 + x2) = f(x1) × f(x2)
備考. 複素数の「数空間」
複素数の「数空間」──ベクトルとスカラーの両方を複素数とする1次元線型空間──を,Cで表す。
(註. 「複素平面」は,「Cに随伴するアフィン空間」がこれの意味である。)
大きさが0でないu ∈ V を,一つ定める。
VとCの間には,つぎの同型対応が立つ:
ψ:u× (x + i y)├─→ x + i y
そしてこの同型を介して,ベクトルv = u× (x + i y) の θラジアン回転と複素数のつぎの積が対応することになる:
(x + i y) × ( cosθ + i sinθ)
註: |
Cにおける複素数の積には,見掛けは同じだが意味の違う,つぎの2通りがある:
・ベクトルのスカラ倍 (「作用」)
|
(x + i y) × ( cosθ + i sinθ) としての (x + i y) × ( cosθ + i sinθ)
|
・スカラの積 (「作用の合成」)
(cosθ + i sinτ) × (cosθ + i sinτ)
|
|