Up 変化率が,全体の大きさに比例」: f′(x) = kf(x) 作成: 2011-04-16
更新: 2017-10-26


    指数関数は,つぎのように特徴づけられる:
        f′(x) = kf(x)
    読み方は,「変化率が,全体の大きさに比例」である。


    変化率が,全体の大きさに比例」の例としては,つぎのものがある:
    • マルサスの人口論:「人口は幾何級数的に増加する」
        ──「人口の増加率 (単位時間あたり増加数) は,人口に比例」
    • 「放射能の強さ (単位時間あたり原子崩壊数)は,原子の数に比例」
        ──「原子の数の減少率 (単位時間あたり減少数) は,原子の数に比例」

    以下,条件「f′(x) = kf(x)」が指数関数を特徴づけることを見ていく。

    1. 指数関数fが,「f′(x) = kf(x)」を含意すること

      実際,「f(x + y) = f(x) × f(y),f′(0) = k」から「f′(x) = kf(x)」が導かれる:
        任意のxで f(x) = f(x + 0) = f(x) × f(0) より,f(0) = 1
        これより
        f(x+h) − f(x) = f(x) × f(h) − f(x)
          = ( f(h) − 1) × f(x) = ( f(h) − f(0) ) × f(x)
        さらに
        f′(x) = lim
        h → 0
        ( f(x+h) − f(x) ) / h
           = ( lim
        h → 0
        ( f(h) − f(0) ) / h ) × f(x) = kf(x)

    2. 条件「f′(x) = kf(x),f(0) =1」を満たす関数は,指数関数であること
      (条件「f(0) =1」が加わる理由は,以下の証明で示される)

      f′(x) = kf(x) より,f′(x) / f(x) = k
      これの両辺を積分して,
      loge f(x) = kx+ C
      よって,
      f(x) = ekx+ C = eC (e)
      e = a とおくと,f(x) = eC
      このままではfは指数関数ではないが,ここで条件「f(0) =1」が効いてくる。
      eC = f(0) = 1 より,f(x) = a