指数関数は,つぎのように特徴づけられる:
読み方は,「変化率が,全体の大きさに比例」である。
「変化率が,全体の大きさに比例」の例としては,つぎのものがある:
- マルサスの人口論:「人口は幾何級数的に増加する」
──「人口の増加率 (単位時間あたり増加数) は,人口に比例」
- 「放射能の強さ (単位時間あたり原子崩壊数)は,原子の数に比例」
──「原子の数の減少率 (単位時間あたり減少数) は,原子の数に比例」
|
以下,条件「f′(x) = kf(x)」が指数関数を特徴づけることを見ていく。
1. 指数関数fが,「f′(x) = kf(x)」を含意すること
実際,「f(x + y) = f(x) × f(y),f′(0) = k」から「f′(x) = kf(x)」が導かれる:
任意のxで f(x) = f(x + 0) = f(x) × f(0) より,f(0) = 1
これより
f(x+h) − f(x) = f(x) × f(h) − f(x)
= ( f(h) − 1) × f(x) = ( f(h) − f(0) ) × f(x)
さらに
f′(x) = |
lim h → 0 |
( f(x+h) − f(x) ) / h |
= ( |
lim h → 0 |
( f(h) − f(0) ) / h ) × f(x) = kf(x) |
|
2. 条件「f′(x) = kf(x),f(0) =1」を満たす関数は,指数関数であること
(条件「f(0) =1」が加わる理由は,以下の証明で示される)
f′(x) = kf(x) より,f′(x) / f(x) = k
これの両辺を積分して,
loge f(x) = kx+ C
よって,
f(x) = ekx+ C
= eC (ek)x
ek = a とおくと,f(x) = eC ax
このままではfは指数関数ではないが,ここで条件「f(0) =1」が効いてくる。
eC = f(0) = 1 より,f(x) = ax
|