Up 黄金比の導出──正五角形から 作成: 2014-07-25
更新: 2014-07-25


    正方形の,辺と対角線の長さの比は?
    この問いから,√2が導かれてくる。
    正五角形の,辺と対角線の長さの比は?
    この問いから導かれてくるのが,黄金比φ (= (1+√5)/2 ) である。

    (1) 黄金比の導出
    黄金比φは,正五角形からつぎの長さの比として導出される:
    導出方法は,ユークリッド互除法である。

    先ず,aは,つぎのようにbの中に1回入って,r1 余る:

       実際,図中の長さaが,つぎのように導かれる:

(番号は,推論の順序)

    1 は,つぎのようにaの中に1回入って,r2 余る:

    1 は,つぎのようにとれる:

       実際,図中の長さr1 が,つぎのように導かれる:

(番号は,推論の順序)

    小さい正五角形の中r2 とr1 の位置関係は,もとの正五角形の中のaとbの位置関係と同じである。
    よって,ユークリッド互除法の操作は,ここまでのプロセスと同型のプロセスを,延々と続けることになる。

    すなわち,つぎのようになる:

    そして,比の連分数表現が,つぎのように導かれる:



    (2) 1+φ=φ2
    φ2 を作図する──下図の AB に対する CD の比がφ2 である:
    この図から,1+φ=φ2 が導かれる:
       実際,AB + BC = AE + CA = CE = CD


    (3) 正五角形の作図
    1+φ=φ2 からは,φ= (1+√5) / 2 を得る。
    そして φ= (1+√5) / 2 を得ることで,正五角形の「コンパスと定木」による作図法を編み出せる。

    即ち,1,√5 (直角を夾む2辺の長さが 1と2の直角三角形の対辺の長さ), 1+√5, φ=(1+√5)/2 と順に作図して,つぎの2等辺三角形をつくる:
    そして,これから正五角形ができる: