Up おわりに 作成: 2023-10-14
更新: 2023-12-29


    大学の数学の授業は,昔から,何を話しているのさっぱりかわからない,というものである。
    いまも定めしそうだろうと思うのは,大学教員が Web に載せている数学の講義録が,みなこの手合いだからである。
    なぜこうなのか?
    授業者当人が,「わかるとは?」「教えるとは?」をわかっていないためである。

    数学をつくる者は,<これをわかりたい>から出発する。
    そして,わかる方法を開発する
    この方法が,数学になる。

    翻って,数学の勉強は,つぎの勉強である:
      この数学は,何をわかろうとするものか?
      この数学で,どうしてそれがわかるのか?

    しかし,大学での数学の授業は,この勉強をさせるものではない。
    <定義の提示 → 定理の提示 → 定理の証明>をだらだら繰り返すばかり。
    授業者当人がこれが授業だと思っているので,どうしようもない。

    ホモロジー群の授業も,この類である。
    Web でだいぶ探ってみてこうだったので,断定して構わないだろう。

    というわけで,「ホモロジー群の授業とは,こういうことを教えてやるものだ」というのを書いた。
    内容は,「球面とトーラスを別モノにする方法」である。

    ホモロジー群を授業している大学教員のリアクションは「これっぽっちじゃ話にならない」だろうが,これで十分なのである。
    そもそもホモロジー群は,トーラスの穴を増やす,次元を増やすに進めば,お手上げになるというものである。

    実際,お手上げになるから,一般論に進む。
    で,その一般論にどれほどの生産性があるかというと,無い。
    一般論は,生産性とは無縁の(てい)で立つことになるものである。
    その身分は,「アート」。
    翻って,一般論をやる者の身分は,「アーティスト」。


    本テクストを書き起こそうとしたときは「けっこうたいへんかな」と思ったのだが,ちょうど十日で<了>となった。
    「おわりに」として,この時間で済んだ理由を記しておく。
    ──文明論である。

    先ず,大学にいたらこうはいかない。
    大学は雑用ばかりで,こんなテクストをつくる時間はとれない。
    (いまの大学は,もっとすさまじいことになっているのだろう。)
    娑婆からリタイアしたら,この程度のテクストはホイホイつくれてしまうということなのである。

    もう1つの理由は,ITである。
    昔だと紙と鉛筆。
    書き換え・編集のカットアンドペーストも,文字通りハサミとノリを使ったのである。

    パブリッシュもウェブページが媒体なので,作図のファイルをそのまま埋め込める。
    そしてドローイングソフトは,使い込むほどにその強力さに感服する。

    そして,TeX。
    ウェブサーバ連携 TeX として MathJax を使用している。
    これが無かったら,数学のテクストづくりはたいへんな作業になる。
    昔『四元数』のテクストをつくったことがあった ( 『四元数』) が,あれはひどかった。
      読者は,本テクストのページの表示が一瞬ではなく時間がかかることが気になったであろう。 Webサーバないしブラウザにとって,TeX テクストの生成は時間がかかることなのである。

    この上を望むとしたら,HTML + MathJax コンテンツが PDF に変換できることである。
    そうなれば,『「ホモロジー群」とは何か』の PDF オンラインブックがつくれることになるのだけど^^;