Up 線型空間 → 基底・次元 → 基底変換 → 行列 (基底変換の表現)  


  1. 「線型空間」で,<存在> (「ベクトル」) をおこす。
    線型空間は,ベクトルの作用素 (「スカラ」) の系が,構成ユニットになる。
    スカラの系として念頭にあるものは,実数体 である。

      この内容は,算数科の「量と測定」領域の
      • 量の対象化
      • 量に対する数の倍作用
      の話と対応させると,わかりやすい。

      実際,算数科の「量と測定」は,つぎの意味で,「線型空間」の簡単版になる:
        《量は,2量の比の表現になる数が有理数/実数であるとき,
          有理数体/実数体上の1次元線型空間と同じ。》


  2. つぎに,<存在> (「ベクトル」) の表現論に進む。
    ここで,「基底」が導入される。
    ベクトルが,基底を構成するベクトルの一次結合で一意的に表現される。

      この内容は,算数科の「量と測定」領域の
      • 「単位」の導入
      • 量が「単位の何倍」の形に一意的に表現される (量の測定)
      の話と対応させると,わかりやすい。


  3. 「基底変換」は,「<存在> (「ベクトル」) の表現の相対性──基底依存性」を主題化するものである。

      算数科の「量と測定」でこれに対応するものは,
      • 単位を替えることで,数値が変わる
      である。


  4. 基底変換によってベクトルの表現がどう変化するかは,計算で求まる。
    この計算における数値の所動規則を観て,「基底変換の表現行列」「新基底に対するベクトル表現を行列計算」の概念を導く。

      算数科の「量と測定」でこれに対応するものは,
      • 単位換算規則を表す式における定数
      • 新単位に対する量の数値を計算
      である。