Up 観測者に依らない 作成: 2017-11-30
更新: 2017-11-30


    量は,「観測者に依らない」と考えられているものである。

    「観測者に依らない」の意味は,「測定に依らない」である。
    ただし, 「測定に依らない」は,つぎのように表現されるものである:
      量x= <測定単位>\( \ _{\times}\ \)<xの測定値>
    ここで記号 \( \ _{\times}\ \) は,倍作用を表すものとする。

    以下,これの説明:


    量xを,観測者AとBが別々に測定する。
    Aは,単位 \( e_a \) を用いて測る。
    Bは,単位 \( e_b \) を用いて測る。

    xをベクトル空間Vの要素と見なす
    量のベクトル空間であるVは,1次元である。
    \( \{ e_a \} ,\, \{ e_b \} \) は,それぞれVの基底になる。
    これの双対基底を,それぞれ \( \{ f^a \} ,\, \{ f^b \} \) とする。

    このとき,つぎが「測定に依らない」の表現である:
      \[ x = e_a \ _{\times}\ f^a(x) \,=\, e_b \ _{\times}\ f^b(x) \]

    この関係は,つぎの関係に還元される:
      「\( e_a \) のn倍が \( e_b \) であるとき,\( f^a \) の \( n^{-1} \) 倍が \( f^b \)」
    これは,常識であるところの
      「単位をn倍のものに変えると,測定値は \( n^{-1} \) 倍」
    を,「双対」のことばで延べ直しただけである。

    こうして,つぎが一般的表現になる:
      \[ e \otimes f\,=\, ( e\ _{\times}\ n ) \otimes ( f\ _{\times}\ n^{-1} ) \]
    実際,これが「基底eと双対基底f」の最も卑近な──しかし,基本的な──イメージとなるものである。