Up | 「テンソル」のテクストの最終章は? | 作成: 2018-02-26 更新: 2018-02-26 |
理由は,それが講義録だからである。 講義録は,そのときの自分の<わかったつもり>を書いたものであり,アイデア (思いつき) のメモである。 これが生のまま,テクストとして出てくる。 講義録は,作品ではない。 「作品」にするとは,受け手を<他者>に措定することである。 「作品」は,最終章に向かって書かれる。, では,「テンソル」のテクストは,なにが最終章になるのか。 「テンソル」は,物理法則の何たるかを考える中から,概念化されてくるものである。 したがって,「テンソル」の学習テクストの最終章は,「物理法則」である。 物理法則は,《非線型のものに対し局所線型を捉え,この線型性を表す》というものになる。 線型代数の概念である「テンソル」が物理法則の形式になるのは,この段階を踏んでいるからである。 したがって,「物理法則」から「テンソル」への還元的下降を述べることができるためには,そして「テンソル」が「物理法則」に終着するためには,「局所線型性」の主題を間に挟まねばならない。 これは,分野として「可微分多様体」の話になる。 「テンソル」のテクストは,「直線座標・曲線座標──両者間の変換」の章を設ける。 この章の意味は,「可微分多様体」の内容に入るということである。 しかし,これがうまくいかない。 「直線座標・曲線座標──両者間の変換」の章は,意味不明の章になる。 実際,「テンソル」から「可微分多様体」に入って行くというのは,構成的に無理なのである。 「可微分多様体」は,大きな主題である。 これをテクストの一定分量の中にコンパクトに収容しようとしたら,わけのわからないものになる。 テクストに仕立てるために無理矢理収容するというのは,書き手の勝手な都合である。 それはテクストになっていない。 最終章は「物理法則」だとは言っても,シーケンシャルな構成でそうなるということではない。 「可微分多様体」の別テクストを以て,<仕切り直し>をしなければならないということである。 そしてこのときの「テンソル」の登場の仕方は,「テンソル場」である。 本テクストは,『「テンソル」とは何か』のテクストとして,<仕切り直し>につなぐまでを内容にする。 そしてこの内容を以て,テクストの終章を,「量の公式の一般化形式」と定める。 「量の公式の一般化形式」の内容は,量 (1次元線型空間) の一般次元化である。 この一般次元化にともない,量公式の形,量計算法が一般化される。 章の標題は,「テンソル積の座標・線型写像・座標変換」である。 |