「共変・反変」の起点は,特定された線型空間の基底である。
「共変・反変」は,この基底の変換に対する共変・反変である。
強調 :「共変・反変」は,絶対的に決まるのではない。
起点と定めた線型空間と相対的である。
「共変・反変」は,以下の順序で決まっていく:
- 基底 \({\bf e}\) を構成するベクトルを,一行行列の形に並べる:
\[
( {\bf e}_1,\, \cdots, \, {\bf e}_n )
\]
ここで,添字の下付けは,「共変」の意味である。
「基底はそれ自身に対して共変」,ということである。
- 基底変換
\[
{\bf e} \to {\bf e'}
\]
に対し, \( {\bf e'}\) は「共変」である。
よって,\({\bf e'}\) を構成するベクトルの添字は下付けである:
\[
( {\bf e'}_1,\, \cdots, \, {\bf e'}_n )
\]
- つぎを,この基底変換の式とする:
\[
( {\bf e'}_1,\, \cdots, \, {\bf e'}_n )
=
( {\bf e}_1,\, \cdots, \, {\bf e}_n )
\left(
\begin{array}{ccc}
a^1_1 & \cdots & a^1_n \\
& \cdots & \\
a^n_1 & \cdots & a^n_n \\
\end{array}
\right)
\]
これから,つぎの座標変換が導かれる:
\[
\left(
\begin{array}{c}
x'^1 \\
\vdots \\
x'^n \\
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{ccc}
a^1_1 & \cdots & a^1_n \\
& \cdots & \\
a^n_1 & \cdots & a^n_n \\
\end{array}
\right)^{-1}
\left(
\begin{array}{c}
x^1 \\
\vdots \\
x^n \\
\end{array}
\right)
\]
\( n = 1\) の場合だと,
\[
{\bf e'} = a\, {\bf e} \\
x' = a^{-1}\, x
\]
これは,「基底変換に対し座標変換は反変」を表す。
そこで,座標の添字は,「反変」を表すところの上付きにする。
実際,この結論を見越して,ここまで座標の添字を上付きにしてきたわけである。
- 行列の \(a^j_i\) は,どうなるか。
\[
\left(
\begin{array}{c}
x^1 \\
\vdots \\
x^n \\
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{ccc}
a^1_1 & \cdots & a^1_n \\
& \cdots & \\
a^n_1 & \cdots & a^n_n \\
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x'^1 \\
\vdots \\
x'^n \\
\end{array}
\right)
\\ \\
\Longrightarrow
x^i = a^i_1 {x'}^1 \,+\, \cdots,\,+\, a^i_n {x'}^n
\\
\Longrightarrow
\frac{\partial {x}^i}{\partial {x'}^j} = a^i_j
\]
\(a^i_j = \frac{\partial {x}^i}{\partial {x'}^j}\) は,\( x^i \) と共変, \( x^j \) と反変。
「\( x^i \) と共変」は「基底変換と反変」,「\( x^j \) と反変」は「基底変換と共変」。
これを,「\(i\) は基底変換と反変」「\(j\) は基底変換と共変」と読んで,\(i\) を「反変」を表すところの上付けにし,\(j\) を「共変」を表すところの下付けにする。
実際,この結論を見越して,ここまで変換行列の項の添字をこのようにしてきたわけである。
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