Up テンソル積の座標 作成: 2018-01-23
更新: 2018-02-23


    いま,つぎのように設定する:
      \( U\) : 体 \(K\) 上の \(m\) 次元線型空間
      \( V\) : 体 \(K\) 上の \(n\) 次元線型空間
      \( {\bf u} = \{ {\bf u}_1, \cdots, {\bf u}_m \} \) : \( U\) の基底
      \( {\bf v} = \{ {\bf v}_1, \cdots, {\bf v}_n \} \) : \( V\) の基底

    このとき,
      \[ \{\ {\bf u}_i \otimes {\bf v}_j \ |\ i = 1,\cdots,m;\ j = 1,\cdots,n\ \} \]
    が,\(U \otimes V \) の基底になる。

    線型空間では基底を行ベクトルの形に配置したが,テンソル積 \(U \otimes V \) ではつぎのように行列の形に配置する:
      \[\left( \begin{array}{ccc} {\bf u}_1 \otimes {\bf v}_1 & \cdots & {\bf u}_1 \otimes {\bf v}_n \\ & \cdots & \\ {\bf u}_m \otimes {\bf v}_1 & \cdots & {\bf u}_m \otimes {\bf v}_n \\ \end{array} \right) \]
    したがって,3つの線型空間のテンソル積だと,立方の形に構成することになる。
    そして4つ以上になると,この表現は無理となる。

    基底 \( \{ {\bf u}_i \otimes {\bf v}_j \} \) に対する座標 \( (\xi^{ij} ) \) も,基底の行列配置に対応させて,つぎのように行列の形に配置する:
      \[ \left( \begin{array}{ccc} \xi^{11} & \cdots & \xi^{1n} \\ & \cdots & \\ \xi^{m1} & \cdots & \xi^{mn} \\ \end{array} \right) \]


    いま
      \({\bf x} \in U \) : 基底 \( \{{\bf u}_i\} \) に対する座標が \( ( x^1, \cdots, x^m )\)
      \( {\bf y} \in V \) : 基底 \( \{{\bf v}_j\} \) に対する座標が \( ( {y}^1, \cdots, {y}^n )\)
    とすると, \[ \begin{align*} {\bf x} \otimes {\bf y} &= ( x^1 {\bf u}_1 + \cdots + x^n {\bf u}_m ) \otimes ( {y}^1 {\bf v}_1 + \cdots + {y}^m {\bf v}_n ) \\ &= \sum_{i,j} ( x^i {\bf u}_i ) \otimes ( {y}^j {\bf v}_j ) \\ &= \sum_{i,j} (x^i {y}^j ) ( {\bf u}_i \otimes {\bf v}_j ) \end{align*} \] 即ち,\( ( x^i y^j ) \) が 基底 \( \{ {\bf u}_i \otimes {\bf v}_j \} \) に対する \(x \otimes y \) の座標になる。
      \[ \left( \begin{array}{ccc} x^1 y^1 & \cdots & x^1 y^n \\ & \cdots & \\ x^m y^1 & \cdots & x^m y^n \\ \end{array} \right) \]