Up 逆二乗法則 作成: 2018-02-23
更新: 2018-02-23


    数学の「テンソル」の意味は,「線型空間のテンソル積に表現されるもの」である。
    「テンソル」のこの定式化は,融通の利かない面がある。

    「テンソル」の思いのうちには,《物理法則をテンソルに還元する》というのがある。
    ところが,「テンソル」の意味が「線型空間のテンソル積に表現されるもの」だと,物理法則の代表的なものがテンソルではなくなってしまう。
    端的に,冪乗を含む式──冪乗則──は,テンソルになってくれない。
    特に,逆二乗法則の類は,テンソルではない。


    そこで,《逆二乗法則の本質を変えないで,これの冪乗を無くしてテンソルにする》ということを考える。

    万有引力の公式を例にする:
      \[ F = G \frac{M\,m}{r^2} \]
    ここで,\(M,\,m\) には質量 (重さ) の値,\(r\) には距離の値,\(F\) には力の値が,それぞれ入る。
    \(G\) は,質量・距離・力の各単位を固定することで決まる定数。

    この式に対し,
      \[ G \frac{M\,m}{r^2} = -\, G \frac{d}{dr} \left( \frac{M\,m}{r} \right) \]
    の関係を見て,式
      \[ -\, G \frac{M\,m}{r} \]
    の意味づけを考える。
    これは,「万有引力の位置エネルギー」というものになる。
    そしてこれだと,テンソルになる:
        質量 \(\otimes\) 質量 \(\otimes\) 距離*