空間 \( S \) をポテンシャル場として定義する \( f \) は,スカラー値関数である。
したがってポテンシャルは,テンソルとしては (0, 0) テンソルになる。
\( S \) を3次元──体K上の3次元ベクトル空間──とする。
基底をとり,\( xyz \) 座標を定める。
そして \( f \) から,つぎの関数を導く:
\[
f^{'} : {\bf x} \longmapsto \left(
\frac{\partial f({\bf x})}{\partial x},
\frac{\partial f({\bf x})}{\partial y},
\frac{\partial f({\bf x})}{\partial z}
\right) \ \ \ \ ({\bf x} \in S) \\
\]
\( f^{'} \) を, 「ポテンシャル勾配」──あるいは単に「勾配」──と呼ぼう。
ポテンシャル勾配は,(0, 1) テンソルである(註)。
\( S \) は,これによってもテンソル場になる。
注意:「勾配」はつぎのようには定義できないことに注意せよ:
\[
f^{'} : {\bf x} \longmapsto \frac{df({\bf x})}{d{\bf x}} \ \ \ \ ({\bf x} \in S)
\]
微分の「\( \Delta {\bf x} \rightarrow 0 \)」が方向依存になるからである。
註 : |
基底変換
\[
( {{\bf e}^{'}}_1,\, {{\bf e}^{'}}_2,\, {{\bf e}^{'}}_3 ) = ( {\bf e}_1,\, {\bf e}_2,\, {\bf e}_3 ) \, A \\
\ \ \ \ A = ({a^i}_j)
\]
に対し,
\[
( x^1,\, x^2,\, x^3 ) = A\, ( {x^{'}}^1,\, {x^{'}}^2,\, {x^{'}}^3 ) \\
x^i = \sum_{k}{a^i}_k\, {x^{'}}^k \\
\ \ \ \ \ \Longrightarrow \frac{dx^i}{{dx^{'}}^j} = {a^i}_j\\
\]
よって,
\[
\left( \frac{df}{d{x^{'}}^1}, \frac{df}{d{x^{'}}^2}, \frac{df}{d{x^{'}}^3} \right) \\
= \left(
\frac{df}{dx^1}\frac{dx^1}{d{x^{'}}^1} + \frac{df}{dx^2}\frac{dx^2}{d{x^{'}}^1} + \frac{df}{dx^3}\frac{dx^3}{d{x^{'}}^1}, \,\\
\ \ \ \ \ \ \frac{df}{dx^1}\frac{dx^1}{d{x^{'}}^2} + \frac{df}{dx^2}\frac{dx^2}{d{x^{'}}^2} + \frac{df}{dx^3}\frac{dx^3}{d{x^{'}}^2}, \,\\
\ \ \ \ \ \ \frac{df}{dx^1}\frac{dx^1}{d{x^{'}}^3} + \frac{df}{dx^2}\frac{dx^2}{d{x^{'}}^3} + \frac{df}{dx^3}\frac{dx^3}{d{x^{'}}^3}
\right) \\
= \left(
\frac{df}{dx^1} {a^1}_1 + \frac{df}{dx^2}\ {a^2}_1 + \frac{df}{dx^3} {a^3}_1, \,\\
\ \ \ \ \ \ \frac{df}{dx^1} {a^1}_2 + \frac{df}{dx^2} {a^2}_2 + \frac{df}{dx^3} {a^3}_2, \,\\
\ \ \ \ \ \ \frac{df}{dx^1} {a^1}_3 + \frac{df}{dx^2} {a^2}_3 + \frac{df}{dx^3} {a^3}_3
\right) \\
= \left( \frac{df}{dx^1}, \frac{df}{dx^2}, \frac{df}{dx^3} \right)\, A \\
\]
即ち,ポテンシャル勾配は,共変。
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