Up テンソル「距離\(\otimes\)時間*\(\otimes 時間\) \(\cong\) 距離」 作成: 2017-12-17
更新: 2018-02-27


    「距離÷時間=速さ」を取り上げた後に「速さ×時間=距離」を取り上げるのは,「単位の縮約」を主題化するためである。

    量計算では,「説明できないが,これで巧くいく」ということで,単位をつけた式を立て,同じ単位を「約分」するということが,ふつうにやられている。
    「速さ×時間=距離」だと,つぎのようなぐあいである:
      2m/秒 × 3秒 = (2 × 3) m
    この「単位の縮約」を数学化しようとすると,「テンソル積」の内容になる。
    このことを,「速さ×時間=距離」を以て解説しようというわけである。


    速さは,テンソル積 距離\(\otimes\)時間* になった。
    「速さ×時間=距離」には,つぎのテンソル積 距離\(\otimes\)時間*\(\otimes\)時間 が対応する。
    ここで 距離\(\otimes\)時間*\(\otimes\)時間 と距離の同型対応は,つぎのようになる:




\({\bf t}_1^*({\bf t}_2)\) は,\({\bf t}_1\) を単位にして \({\bf t}_2\) を測ったときの値 (スカラー)。
これを \(\bf d\) に倍したのが,\({\bf t}_1^*({\bf t}_2)\ {\bf d} \)。


    例として,「2m/秒では, 3秒で何m」を計算する。

    「速さ×時間=距離」を公式として適用するときは,時間と距離の単位に対し速さの単位が整合していることを確認した上で,「(2×3)m」を出す。

    《公式「速さ×時間=距離」は,テンソル積「距離\(\otimes\)時間*\(\otimes\)時間」だ》の意味は,「2m/秒」の \( 2 {\bf m} \otimes\)秒* と3秒のテンソル積
        \(2 {\bf m} \otimes\)秒* \(\otimes\) 3秒
    を立てれば,後は
    1. \(\otimes\) の文法
    2. 距離\(\otimes\)時間*\(\otimes\)時間 と距離の同型: \( {\bf d} \otimes {\bf t}_1^* \otimes {\bf t}_2 \longleftrightarrow {\bf t}_1^*({\bf t}_2)\ {\bf d} \)
    に順って,距離「(2×3)m」が出るということである。

    実際,
      \( 2 \,{\bf m} \, \otimes\) 秒* \(\otimes\) 3秒
      = \( 2 \, {\bf m} \, \otimes\) ( 秒* \(\otimes\) 3秒 )
      = ( 秒*(3秒) ) (\(2 \, {\bf m}\) )
      = \( 3\ ( 2\, {\bf m}\) )
      = \( (2 \times 3 )\, {\bf m}\)

    (途中,「2×3」ではなく「3×2」が出そうになったのは,前半の式を<倍を前に書く欧米流儀>で書いたためである。)




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