実ポテンシャル関数\(\Phi\)とは、ラプラス方程式
\[
\begin{aligned}\Delta \Phi =\frac{\partial^2 \Phi }{\partial x^2}+\frac{\partial^2 \Phi }{\partial y^2}=0\end{aligned}
\]
を満たす関数のことです。
調和関数とも。
電気、熱、流体のような物理に得られるポテンシャルは、ラプラス方程式を満たすことが知られています。
調和関数\(\Phi\)に対しては、コーシー・リーマンの方程式を使って、その共役調和関数\(\Psi\)が(実定数の差を除いて)定まります。
そこで、それらを合わせてできる正則関数
\[
\begin{aligned}F(z):=\Phi +i \Psi\end{aligned}
\]
を、複素ポテンシャル(complex potential)と呼びます。
複素ポテンシャルを考えると、2次元の実ポテンシャル\(\Phi\)を調べるために、複素解析の理論が使えます。
正則関数は \(f^{\prime}(z)\neq 0\) となる点では等角写像(角度を保存)で、\(\Phi = C_1\)という等高線と\(\Psi = C_2\)という等高線は常に直交することが知られています。
物理的には、ポテンシャルと力は直交するので、\(\Psi\)の等高線は力線(lines of force)と呼ばれます。
例えば\(\Phi\)が電気ポテンシャルを表すとき、\(\Psi\)の等高線は電気力線となるわけです。
また、\( \Phi \)が流体における速度ポテンシャルであるとき、\(F\)は複素速度ポテンシャル、\(\Psi\)は流れ関数と呼ばれています。
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