Up 扱いたい量が新たに出てきて,新しい数がつくられる 作成: 2007-05-01
更新: 2007-05-01


    自然数,正負の数,複素数,‥‥ のように数がいろいろあるのは,「扱いたい量が新たに出てきて,新しい数がつくられる」ためです:

        扱いたい量に対する欲が出てくる;
        これまでの数では料理できない量がここにある。
      → この量を扱える数をつくる。


    自然数が扱う量は,「個がいくつ」と言い表される量です。
    ここで,「個」には「部分を考えない」という含意があります。つまり,「個」は「原子」です。


      例: 硬貨,切ることを考えないりんご


    部分のある量を扱いたいということで,分数がつくられます。
    「部分がある」とは,「切る/分割する」を考えることができるということです。


      例: 長さ/距離,面積,体積,重さ,時間,速さ,クリスマスケーキ


    分数で扱った量にさらに正逆2方向の向きが加わったものを量としてを扱いたいということで,正負の数がつくられます。


      例: 直線上正逆2方向の移動,昇降,増減,正逆2方向の速さ,時間の経過と遡行


    正逆2方向とは,直線上方向自由 (1次元空間内方向自由) ということです。これを延長すると,平面上方向自由 (2次元空間内方向自由) になります。 そして平面上方向自由の量を扱いたいということで,複素数がつくられます。


      例: 平面上方向自由の移動,平面上方向自由の速さ


    この先の延長は,どういうものになるでしょう?
    「空間内方向自由 (3次元空間内方向自由) の量を扱いたい」になり,「これを扱える数をつくる」になります。
    このような数はあるの?──あります。「四元数」と言います。
    四元数を語れば数学的にかなり専門的な話になりますので,四元数は本テキスト『「数とは何か?」への答え』では取り上げません。( 四元数)

      四元数に進むと,数に関してもたれている「偏見」で気づかれにくい重要なことが,またひとつ明らかになります。
      四元数では,積の可換性 ( m × n = n × m ) が成り立ちません。したがって,これまでほとんどあたりまえと思っていた「積の可換性」は「数」の条件ではない (「数」にとって本質的なことではない) ことになります。