English
フィクションとしての「量」
「量」はリアルではなくフィクションです。
試みに,身の周りに「速さ」を捜してみて下さい。リアルに存在しているのは,「走っている自動車」や「作業のもたつき」といったものです。「速さ」は,これらに対して意識されてくるところのものです。
「量」はリアルに存在しているのではなく,わたしたちの解釈として「存在」しています。
実際,リアルに対して「位・量」を抽象をするときに,「
「位・量」としての数
」が
形
として(暗黙に)使われていることになります。
この意味で,
「位・量」(「時刻」,「長さ」,‥‥等々)以前に,
先ずひとがいて,そして「「位・量」としての数」がある
ことになります。
「数」,「量」の二つのことばに対し,前者を抽象的なもの,後者を具体的なもののように受け取る傾向があるようです。
しかし,「数」が一つの「形」(数学的形式)であるのと同様に,「量」も「形」です。具体的なのは「量」ではなくて,わたしたちが「量」を読む/感じる事象の方です。
「形」はリアルではなく,リアルの読み方──この意味で,フィクション──であると,既に述べました。「量」は,「形」の一つとして,リアルではなくフィクションです。