Up 量計算の公式の意味 作成: 0000-00-00
更新: 2010-12-21


    速さの問題を解く公式として,「距離÷時間=速さ」「距離÷速さ=時間」「速さ×時間=距離」が使われています。 この公式の意味は何でしょう?
    実際,×・÷ は数の演算の記号であって,量である時間・距離・速さに対して使われるものではありません。

    長方形の面積を求める公式として,「タテ(の長さ) ×ヨコ(の長さ) =面積」というのもあります。 これも,記号×の文法からすると,おかしい表現です。

    これらの公式で実際に述べられていることは,ある単位に対する量の数値の関係です。 特に,単位の取り方に依存しています。

    時間・距離・速さの場合であれば,距離の単位に「m」,時間の単位に「分」をとったときは,速さの単位に「m/分」をとることになります (「単位をそろえる」)。 そうすると,
      「距離の数値 ÷ 時間の数値 = 速さの数値」
      「距離の数値 ÷ 速さの数値 = 時間の数値」
      「速さの数値 × 時間の数値 = 距離の数値」
    が成り立ちます。
    このことを,「距離÷時間=速さ」「距離÷速さ=時間」「速さ×時間=距離」と言っているわけです。

    また,長方形の面積の場合であれば,長さの単位に「cm」をとったときは,面積の単位に「cm2」をとることになります (「単位をそろえる」)。 そうすると,
      「タテの数値 × ヨコの数値 = 面積の数値」
    が成り立ちます。
    このことを,「タテ×ヨコ =面積」と言っているわけです。

    公式の適用はよくできていても,公式の意味・理由は意識されていません。
    実際,学校数学も,公式の意味・理由の理解に必要な数学 (「量」の数学) を教えるふうにはなっていません。