Up 分数値の場合 作成: 0000-00-00
更新: 2010-12-20


    「比例関係」を,
      一方が2倍, 3倍, ‥‥ になるとき,もう一方も2倍, 3倍, ‥‥ になる
    で定義しました。
    では,自然数倍ではなく分数 n/m 倍の場合はどうなるのでしょう。

    実は,定義より,
      一方が n/m 倍になるとき,もう一方も n/m になる
    が導かれます。
    以下,このことを示します。


    先ず,「n/m」の意味から,つぎの関係を満たす量 c がとれます:

    cの対応先をc ' とします:

    「比例関係」の定義より,m倍にはm倍が対応します:

    同様に,n倍にはn倍が対応します:

    このとき,c' が a' と b' をm:nに共約している図が得られています! よって,分数倍の定義より,a' と b' の比は n/m:

    これで,n/m 倍には n/m 倍が対応することが示されました。


     註 : 比例関係で分数倍には同じ分数倍が対応することがわかりました。では, このことからさらに,実数倍には同じ実数倍が対応するでしょうか?
    答えはYes ですが,証明は専門的内容になります。
    以下,その概略です。
    つぎのようであるとします:
    そして,r, s に収束する有理数列 {r }, {s } をそれぞれ一つとります。
    「量の系は加法を伴う数と同型」ですので,{a ×r } は a ×r = b に収束します。さらに,「分数倍には分数倍が対応する」を使って,{a'× r} が b' に収束することが導かれます。  一方,{a' × s} も b' に収束します。そして{a' × r} と{a' × s} の極限が同じということからは, {r }, {s } の極限が同じであることが導かれます。すなわち,r = s です。