Up 四元数とは? 作成: 2007-11-10
更新: 2007-11-10


    2次元実ベクトル空間は,複素数体を係数体として,1次元ベクトル空間になります。
    これは,2次元実ベクトルが,複素数を「数」として伴う「量」になることを意味します。

      「量」では,つぎのことが条件になっています:
        任意の要素を単位として定め,任意の量を「単位の何倍」という形で一意的に表わせる。
      これは,「1次元」の意味に他なりません。


    これの拡張として,つぎのことが自然に発想されてきます:

      3次元実ベクトルを「量」にするような「数」をつくる。


    2次元実ベクトルに対する複素数倍は,「回転・倍」でした。
    よって,これの拡張も「回転・倍」の意味と関わることが予想されます。

    このアイデアをもって複素数の3次元拡張に取り組んだのが,数学者 ハミルトン (W.R. Hamilton) です。
    しかし,3次元拡張はうまくいかず,ハミルトンが到達したのは4次元拡張でした。 これが四元数 (quaternion) です。

    要点 :
      複素数を「数」として,2次元実ベクトルは「量」になる。
    3次元実ベクトルを「量」にする「数」づくりは,うまくいかない。
    四元数を「数」として,4次元実ベクトルは「量」になる。