1.5.1 数/量形式の恣意性
数/量形式は,“実在の事実”のように存在するのではない。それは,対象化の一形式である。そして,《対象化は,ある都合にしたがう対象化である》の意味で,数/量形式は一つの恣意性である。
数/量形式の規定に依存して,数/量が決まる。規定の変更により,何が数/量であるかが変わる。
例えば,“硬度”を量にするような量形式を考えることは可能である。しかし,代数的構造──加法と倍作用が定める構造──を量形式の含意と考えることにすれば,“硬度”は量ではなくなる。
本論では,数/量形式を,
〈小学校算数からはじまる学校数学で,“数/量”領域の内容として学習者に課しているところの内容〉
を説明できる形式であるように,規定していく(§3,§6)。