10.3.1 数計算への還元



 量や量関係を算出する手続きとしての量計算は,量形式を理由にして,〈測定値処理=数計算〉の形で行なうことができるようになる。(“計算”の意味は,既に述べたように“式変形"。)

 この数計算には,加法/乗法の使用,および順序関係≦の使用がある。

 量の系 ((Q,+),(N,+,×),×) の上の計算に数の加法,乗法が使用されるときには,

×ξ+x×η=x×(ξ+η)
 (x×ξ)×η=x×(ξ×η)

が,従うべき規則になっている。(実際,数の+,×の意義は,この規則を立てることである。)

 順序構造を伴う量の系 ((Q,+,≦),(N,+,×,≦),×) の上の計算に数の順序関係が使用されるときには,

単位u∈Qとξ,η∈Nに対し,        
×ξ<u×η ξ<η

が規則になっている。

 そこで,量計算への数計算の使用は,
  1. 数計算に還元するための計算(式変形)
  2. 数計算
の二段階で考えられる(註)



(註) 例えば,量の系の条件:
x+y=y+x
(x+y)+z=x+(y+z)
(x×ξ)×η=x×(ξ×η)
(x+y)×ξ=x×ξ+y×ξ
の適用は,(1) の段階に属する。