11.3.2 妥当な単位決定



 単位決定が恣意的であるといっても,それは理屈の上でのことであり,妥当な単位決定というものが生活的/身体的条件からある程度決まってくる。実際,量測定(=表現づくり)および量把捉(=表現受容)は,どのような単位をとるかで,容易になったり困難になったりする。

 例えば量把捉の場合,“単位いくつ”の表現の受容のし易さ・し難さは,単位と“いくつ”の両方の把捉のし易さ・し難さの総合である。大きな量や微小な量では,単位の把捉のし易さと“いくつ”の把捉のし易さが,矛盾するようになる。実際,“いくつ”を桁数の少ない数にするためには,“手に余る/手からもれる”単位を導入しなくてはならない。

 また,量測定では,単位の手頃さと測定の労力が,しばしば矛盾する関係になって現われる。