11.4.2 位取り表現
組合せ表現での単位表示の順番を固定しておくと,以下の手続きにより,この表現から単位の記号をなくすることができる。
先ず,一つの単位U
0
を“基準単位”の身分で特権化し,併せて単位の系列
・・・・ → U
-2
→ U
-1
→ U
0
→ U
1
→ U
2
→ ・・・・
を固定する。また,“空位記号”,区切り記号,そしてU
0
の係数をマークするための記号を,それぞれ一つ任意に導入する。
U
j
→ ・・・・ → U
i
であることを U
i
U
j
で表わすことにする。
このとき,組合せ表現:
U
i1
×
k
1
+U
i2
×
k
2
・・・・+U
ij
×
k
j
(U
i1
+U
i2
・・・・
U
ij
; k
1
,・・・・,k
j
:自然数)
をつぎの表現に替えることができる:
U
0
U
i1
のときは,U
0
→U
1
→ ・・・・ →U
ij
の各々の係数を,区切り記号で区切りつつこの順序で列ねる.
U
i1
U
0
U
ij
のときは,U
i1
→U
(i1)+1
→ ・・・・ →U
ij
の各々の係数を,区切り記号で区切りつつこの順序で列ねる.
U
i1
U
0
のときは,U
i1
→U
(i1)+1
→ ・・・・ →U
ij
→ ・・・・ →U
0
の各々の係数を,区切り記号で区切りつつこの順序で列ねる.
U
i1
,・・・・,U
ij
と異なるU
k
の係数は,空位記号とする.
U
0
の係数に,U
0
の係数であることをマークする記号を付す.
例えば,空位記号と区切り記号をそれぞれ 0 とコンマとし,U
0
の係数を赤色にすれば,
U
1
×
12
+
U
3
×
3
U
-1
×
12
+
U
1
×
3
U
-2
×
12
+
U
0
×
3
U
-3
×
12
+
U
-1
×
3
にはそれぞれ表記
0
,
12
,
0
,
3
12
,
0
,
3
12
,
0
,
3
12
,
0
,
3
,
0
が応じる。
基準単位の係数に対するマークと空位記号は,
表記の中の各自然数が,《基準単位の係数である自然数の右/左にいくつ目》ということで,どの単位の係数であるかがわかる
ようにするためのものである。
最小単位あるいは最大単位が決められているときには,《基準単位の係数》の記号は要らなくなる。実際,最小[最大]単位の係数である自然数は,それの位置──左/右端──で既に示されているからである。
例えば,単位の時,分,秒をこの順番に順序づけて,単位の係数を単位の順序に並べる(区切り記号は,“,"のかわりに“:"を使う)ことに決めれば,“14:36:20”に対し“14時36分20秒”と読めることになる。
《要素の各自然数に対しそれを係数とするところの単位が補われて読まれる》この量表現を,“位取り表現”と呼ぶことにする。実際,この表現では,要素の自然数に補われて読まれるところの単位は,その自然数の〈位〉として機能しているわけである。
量の位取り表現は,一意的組合せ表現(§11.4.1)に応ずるとき,一意的表現となる。