2.2.4 量(カテゴリー)の色々
量(カテゴリー)の色々は,はかりによる操作的定義の色々である。
例1.“長さ”
長さの場合,はかりの機能は,先ず,“線分”が読まれるところの現象を現わすことである。(実際,“ものさしをあてる”ことの第一の意義は,“線分”という対象を現出させることである。)測度は,線分の測度として為される。
例2.“時刻/時間”
時刻/時間の場合,はかりは“時計”である。“時計”は時刻/時間を計るものである以前に時間を現わすものである(註)。
この場合“時計”とは,先ず,(循環論法の言い方になるが)時間の経過にしたがって〈相(貌)〉を変ずる何かである。それは,天体の運行でも“腹時計”でもよい。ともかく,時間の経過に伴う〈相〉の変化をわれわれに現前させるということが,この場合に本質的な点である。そして測度は,この〈相〉の変化の測度として為される。
(註) われわれは,“時計”以前に時間が存在するというように考えたくなる。即ち,“いかなる種類の〈相〉の変化も認められない〈真空〉の中にも時間は在るのではないのか?”という具合に。しかし実際は,想念しているわれわれ自身がこの想念の中で“時計”として機能しているのである。