4.2.5 “正負の数”



 Nの要素m,n,kに対し,m+k=nであるとき,n−mとm−nをそれぞれ+k,−kで表わす。数の系の条件(§3.1)より,ND の任意の要素xはNのある要素kに対して+kあるいは−kの形に表現される。── しかもkは一意である(註)

 Nに零元zが存在するとき,+z=−z=0



(註) (1) +m=+nとする。m+m=m+mより,+n=+m=(m+m)−m。したがって,m+n=m+m。+の可約性より,m=n。
 (2) 同様に,−m=−nならば−n=−m=m−(m+m),よってm+n=m+m,さらにm=n。