5.1 自然数の実現と“数の拡張”



 色々な“数”の実現は,周知のように,はじめに自然数を実現し以下“既に得られている数を拡張する”という形で行なうことができる。実際,自然数から出発して,“数の拡張”の形で整数,有理数,実数,複素数,四元数が順次構成される。

 “数の拡張”──数の系の拡張──の主題化は“数の系”の規準の主題化を含んでいる。“数の系”の規準がなければ,“数の拡張”を言うことはできない。本稿では,§3.1 において“数の系”を規定を試みた(註)

 自然数から複素数(さらに四元数)までの拡張を見るときに特定されてくる〈数拡張の方法〉は,“比の系”の導出,“差の系”の導出,連続化(完備化),次元の拡張である。



(註) ちなみに,“数の拡張”は“形式不易の原理”に従うものとして発想されるが,このときの“形式”への通常の言及の仕方は,“数の系”の規準(§3.1)を述べるものとしては不十分である。