6.0 イントロ



 本章では量/位形式を明示的に規定する。論点の提起ということでは,本章が本論考のメインになる。

 “量/位”の読みは,一つの形式──量/位形式──の投企である。“量/位”の対象化は,量/位形式の実現である。

 このような量/位形式を,数の系 (N,+,×) に対する系

((N,+),(N,+,×),×), (N0,((ND,+),(N,+,×),×),+)

と定める。特に,量/位形式は数の系に応じて/依存して定まる。

 この定義を導いているものは,《“量/位”は“数”の使用形式である》という認識である。実際,数の使用形式をそのまま量/位形式と定義しているわけである。

 さらに,《数依存の一個の形式》という形の定義であることによって,規定の自由度と一貫性の両方が得られることになる。

 繰り返すが,“量/位”を“数”の使用形式と規定するというのが,ここでの立場である。そこで特に,“複素数に応ずる量/位”の概念も立つ。実際,所謂“複素平面(ガウス平面)”が複素数に応ずる位の系ということになる。