6.5.3 量の系からの,位の系の導出
量の系
(Q,+),(N,+,×),×)
からは,位の系
(Q0,((QD,+),(ND,+,×),×),+)
が導かれる──ここで,Q0=Q∪{0}(註1)。
即ち,((N,+),(N,+,×),×) と((Q,+),(N,+,×),×)の同型を用いて,((N,+),(N,+,×),×) からの (N0,((ND,+),(ND,+,×),×),+) の構成法を ((Q,+),(N,+,×),×) に適用する(註2)。
例えば,“高度”は,長さ(距離)の系
((Q,+),(,+,×),×)
から導かれる位の系
(Q0,((QD,+),(,+,×),×),+)
として解釈可能である。──Q0の要素を“高さ”と読み,QDの要素を“(方向付き)高度差"(“高さの増減")と読む。
(註1) この発想は,ベクトル空間 ((Q,+),(N,+,×),×) からアフィン空間 (Q,((Q,+),(N,+,×),×),+) を導出する発想(周知のもの)に準ずる。
(註2) 先ず,同型対応
(f,idN):((N,+),(N,+,×),×) ─→ ((Q,+),(N,+,×),×)
を使って,(N,+) からの (ND,+) の構成(§4.7)に (Q,+) からの (QD,+) の構成を対応させる。
この構成の結果としての同型
f:(ND,+) ─→ (QD,+)
に対し,
(f,id):((ND,+),(ND,+,×),×) ─→ ((QD,+),(ND,+,×),×)
は量の系の構造に関する同型。そして,量の系 ((QD,+),(ND,+,×),×) から導かれる系 (Q0,((QD,+),(ND,+,×),×),+) が求めるものである。